秋らしい晴れ間が広がっていたので、少し遠出したいと思い観音寺を訪れた。観音寺は、通称、聖天さんと呼ばれ、平安時代の昌泰2年(899)に宇多法皇が御願寺として創建されたと伝えられるお寺です。(寺解説はこちらで)現在でも、なかなかの規模のお寺ですが、観光寺になっていないので、お寺内はハイカーや一人で来ている歴史好きな観光者以外、あまりみかけない静かな場所になっています。
観音寺への行き方
観音寺への行き方は大きく2つあります。一つ目はJR山崎駅か阪急大山崎駅を降りて、そのまま西国街道を東に歩いていくコース。観音寺の鳥居が西国街道に面して、表参道になっているコースです。もう一つは、JR山崎駅隣の天王山登山コースへ向かう踏み切りを超えて、登山コースに入らず、線路沿いに歩くコース。住宅街を抜けていきますが、車が少なく線路を見下ろせるような高さのなだらかな坂道で、快適に歩くことができます。今回はこちらのコースから観音寺を訪問しました。
踏み切りを超えて、少し歩くとまずみえてくるのが、山崎院跡の石碑です。
山崎院は奈良時代の行基が建てたという寺院で、1989年頃にながらく不明だった場所が特定されたとのこと。院の跡は残っていないので、看板を読んで納得してから、次に向かいます。山崎橋を管理していたとのことで、当時はここから川が見えたのでしょうか?
しばらく歩くと、左手に天王山登山口と山崎聖天の石標に出くわします。
ここを曲がらず、そのまままっすぐに行くと、山崎聖天の表山道にちょうど出るのですが、今回は、この登山口と山崎聖天に向かうことのできるこの場所から山中に入っていきました。
ここから、きつめの坂が開始されます。道はコンクリートで整備してあるので、足元は安定していますが、勾配がぐっとあがっています。すぐ正面に真っ赤できれいな稲荷神社の鳥居が見え、稲荷大神を祭っていますが、残念ながら創建等の由緒不明な神社。その左手には、大山崎竹林ボランティア団体、竹工房が活動中。竹は山崎の特産品の一つ、かぐや姫伝説もここで、明智光秀も竹やぶで農民に竹やりで突かれたと話が残る。
登山口と山崎聖天への分岐点にある稲荷神社。
竹工房(大山崎竹林ボランティア) 天王山の竹林の整備を行っていました。
入山
そして、道案内に従って歩くと稲荷神社のとなりに、大きな門があります。山崎聖天西口山門で、訪問者の戦意を喪失させるに十分な角度の石段のある、山崎聖天の参道口に当ります。一瞬引き換えそうという気持がわき起こりましたが、気合をいれてここから登ることにしました。左側の石碑に大きく「不許肉輩入山内」とあり、どうも肉食べてると入山禁止ということらしいですが、時代が変わったので、やましい気持を抱きつつも登って大丈夫(だと思う)です。
かなり急な階段、休み休み登る。途中の踊り場で休んでいるといきなり蛇に出くわす。抜け殻だよなんて思っていると、頭から舌がにゅっと、ひぃ!てことで急いで登り始める。蛇苦手。おちおち休んでいられません。
階段を登りきると、いきなり広い境内へでます。正面に本堂が見えて、天王山の緑がきれいでした。観音寺到着です。駅から30分ぐらいかけて登ってきた甲斐があったというものです。すがすがしい気持でいっぱいになれます。
で、早速お参りします。まずは本堂から。本尊の十一面千手観音菩薩があり、西観音寺の本堂を移築したものとのこと。
すぐ左隣にあるのが、歓喜天が祀られている聖天堂。聖天さんの通称はここからです。江戸時代から住友、鴻池、三井など大坂の豪商達が「商売繁盛」の御利益があるとして信仰したとの話が残ります。
住友吉左衛門友信が寄進した大灯籠、31日には除夜の鐘がつかれる鐘楼堂。
ここまでかんばって登ってきて汗をかいた人のためには、休憩所が完備され、光明殿の奥の場所にタバコが吸える喫煙ゾーンがあり、(いいのか?)ベンチが置かれてました。この日はここで持ってきたサンドイッチをほうばります。うまいです。
他にも庭の中程に「放生池」や、禁門の変で唯一焼け残った「土蔵」などを眺めます。ちなみに、観音寺の建物は禁門の変の余波ですべて焼失し、現在の建物は明治になって再建されたものです。1時間ほど見学してから下山しはじめました。
下山は、メインの道である表山道から帰ることにしました。行きの石段と同様にまずは急な階段です、ここは高い石垣のおかげで城のような作りで、途中で直角にまがっています。上から弓で打てそうな雰囲気があります。その階段を下りると仁王門があります。
もちろん門の中には、仁王様がおられます。
そのまま石段を下りていきます。表参道の正面の大鳥居「聖天宮」の文字。
西国街道に面した正面の鳥居です。こちらの方がやはりゆるやかに登れそうです。本当はこちらから登っていくのをおすすめします。この門に到着して今日の訪問は終了になりました。あとは西国街道を西へ阪急山崎駅まで歩きました。
山崎聖天は寺なのにあちこりに、鳥居があったりして神仏習合なのが特徴で、途中の景色もよい寺です。あちこちで勾配が激しめの場所がありますが、訪れる価値は十分にあります。ちなみに、天王山ハイキングコースにも組み込まれています。
また、時期が早くてこの日は紅葉していませんが、ここは紅葉が大変きれいな場所でもあります。遅くても12月頭には紅葉するそうです。
2012年10月訪問